遺言執行の準備手続き
みなさま、こんにちは。
兵庫県神戸市でお客さまの問題の早期解決と行政書士の立場からできる社会貢献を目指し活動しているウェーブ行政書士事務所の松井昭一です。
ウェーブ行政書士事務所は、遺言作成や相続手続きを専門的に取り扱う「神戸の終活応援団」を運営しています。
神戸の終活奮闘記では、みなさまが遺言を作成するときや突然相続が始まったときに役立つような記事を書いていきたいと考えています。
どうぞ、肩の力を抜いて気軽にお付き合いくださいませ。
前回の記事では、遺贈以外の遺言の効力について確認いたしました。
今回は、遺言を執行するために必要な準備について説明いたします。
遺言を執行するために必要な準備手続き
遺言の執行とは、遺言書に記載された内容を実現することです。
遺言を執行するための具体的な行為を行う人のことを「遺言執行者」といいます。
遺言執行者については改めて別の機会を設けて説明いたします。
遺言を執行するために必要な準備には次のものがあります。
- 検認
- 開封
- 手続きに違反していた場合の制裁
それでは、順に確認していきましょう。
検認
定義
検認とは、遺言書の偽造や変造を防止し保存を確実にすることを目的として、遺言の形式や態様などを調査・確認することをいいます。
遺言の形式や態様などを調査・確認とありますが、遺言の検認は「遺言の有効や無効を判断する手続ではない」ということに注意が必要です。
過去、遺言の検認において遺言の有効・無効を判断することが争われた裁判において、次のような決定や判決が出されています。
遺言の検認は、いわば証拠保全手続きであるから、遺言書の現状をありのまま確認するだけで、遺言の内容の真否・有効無効を判定するものではない。
したがって、一度検認を受けた遺言書の効力を後で争うこともできる。
遺言の検認とは、遺言書の形式面について確認するものであり、遺言書の内容を確認するものではないということです。
概要
公正証書遺言以外のすべての方式の遺言は、遺言を執行する前に検認が要求されています。
遺言書の保管者またはこれを発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して、その「検認」を請求しなければなりません。
封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人等の立会いの上開封しなければならないことになっています。
検認の申立人
遺言書を保管していた者、遺言書を発見した相続人は家庭裁判所に遺言の検認を申し立てることができます。
検認の申立先
遺言書の検認を請求する家庭裁判所は、遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。
遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所は、次の裁判所のサイトに記載されています。
検認の申立てに必要な費用
遺言書(封書の場合は封書)1通につき収入印紙800円分が必要となります。
遺言の検認終了後、その遺言を執行するためには、遺言書に検認済証明書が付いていることが必要です。
検認済証明書の申請時に必要なもの(遺言書1通につき150円分の収入印紙と申立人の印鑑)を用意しておくと手続きにかかる時間を省略することができます。
検認の申立てに必要な書類
遺言の検認を申し立てる際、申立書や添付書類が必要となります。
申立書の書き方などはこちらの記事で説明しています。
遺言の検認を申し立てる際、申立書に添付する書類には、次のようなものがあります。
共通する添付書類
- 遺言者の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 遺言者の子(及びその代襲者)で死亡している者がいる場合、その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
相続人が遺言者の配偶者と直系尊属の場合における添付書類
- 遺言者の直系尊属※で死亡している者がいる場合、その直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
※この直系尊属は、相続人と同じ代及び下の代の直系尊属に限られます(例:相続人が祖母の場合、相続人の父母と祖父のこと)。
相続人が不存在・遺言者の配偶者のみの場合または遺言者の配偶者と兄弟姉妹およびその代襲者の場合における添付書類
- 遺言者の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
- 遺言者の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
- 遺言者の兄弟姉妹に死亡している者がいる場合、その兄弟姉妹の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
- 代襲者(甥・姪)に死亡している者がいる場合、その甥または姪の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
共通する添付書類と個別に必要な添付書類がが重複するとき、同じ書類は1通で足ります。
検認の申立前に入手が不可能な戸籍等がある場合であっても、その戸籍等について申立後に追加提出すれば、検認の申立てに差し支えありません。
戸籍等の謄本は、戸籍等の全部事項証明書という名称で呼ばれることもあります。
審理のために必要な場合は、追加書類の提出を求められることがあります。
開封
封印のある遺言書は、検認の前に開封する必要があります。
家庭裁判所において、相続人またはその代理人の立会いのもとでなければ、遺言書を開封することができません。
手続きに違反していた場合の制裁
遺言書の保管者または遺言書を発見した相続人は、遅滞なく遺言書を家庭裁判所提出して、その検認を受けなければなりません。この手続きを怠った場合、一定の制裁が科されます。
家庭裁判所において、相続人またはその代理人の立会いのもとでなければ、遺言書を開封することができず、家庭裁判所以外の場において開封した場合も同様に制裁があります。
おわりに
今回は、遺贈以外の遺言の効力について説明いたしました。
神戸の終活奮闘記では、みなさまが遺言を作成するときや突然相続が始まったときに役立つような記事を書いていきたいと考えています。
この記事の内容についての質問等は、コメント欄またはサイト内のお問い合わせにて承ります。
神戸の終活応援団
ブログ名 神戸の終活奮闘記
管理者名 行政書士 松井 昭一
お客さまの問題の早期解決に向けたサポートと行政書士にできる社会貢献を目標に奮闘中!
ただいま無料相談の予約を受付中です。